毎年4月になるとニュースなどでも紹介される観光スポット、富山県立山・室堂平の雪の大谷。
道路の両側に高い高い雪の壁がそびえたつ光景が印象的で「ああ、あれね!」と思う人も多いのではないでしょうか。
この雪の大谷、10年近く前に一度行ったことがありましたが、その時はお天気が今一つで、確かに高い壁は見たけれどそこまで感動しなかった……というのが正直な感想。
特別天然記念物でもある「雷鳥を見てみたい!」という楽しみも、ホワイトアウトのような真っ白な光景に打ち消されました。
私にとってそんな微妙な思い出が残る立山黒部アルペンルートでしたが、友人に誘われて久しぶりに行ってみよう!となり……。
前回の「やり残し」を取り返すべく、新宿発の一泊二日のバスツアーに参加。
5月中旬、1日目は岐阜の飛騨高山と白川郷、2日目は立山黒部アルペンルートを巡ってきました!
まずは新宿から約5時間バスに揺られ、お昼前に岐阜の高山に到着。
外国人観光客が多くて、最近の観光地はどこもこんな感じなんだな、とそれもまた楽しみつつ……。
飛騨牛の串刺しや高山ラーメン、コロッケにアイス。






昔ながらの町並みを散策しながらとにかく食べ歩きます。
お醤油屋さんでお醤油の試食をしたり、雑貨屋さんをのぞいたり。
和洋折衷の素敵なお店が多くて、とにかくおしゃれです♪
高山では春と秋に盛大な「高山祭」が開催されますが、町なかを散策していると、それぞれの地域の「祭屋台」が保管されている「屋台蔵」が見られるのも高山らしくていいな、と思いました。


お次は白川郷へ。
合掌造りで知られる白川郷が世界遺産に登録されたのは1995年のこと。
山々に囲まれた地形から夏は涼しい一方、冬は積雪が170センチ以上になることもあるそう。
真っ白な雪に優しく包まれた合掌造りの家々の写真はカレンダーなどでも見かけたりしますが、どこか温かくて、まるで日本昔話のような世界。
そんな風に思っていた白川郷ですが、実際に見てみると……。
思っていた以上に、「日本昔話」の風景でした!(笑)


もちろん日本屈指の観光地ですから、人は多いし、お店だってたくさんあります。
でも、合掌造りの家の迫力たるや!
白川郷で一番大きな合掌造りの「和田家」は今も住人の方が普通に暮らしているのですが、住居スペース以外の1階と2階部分は一般に公開されています(大人400円)。
ということで、さっそく建物に入ると、その広さ、重厚感のある造りにびっくり。
和田家は江戸時代後期に建てられたそうですが、調度品や食器、農機具なども見ることができ、また2階の窓からの眺めは「一見にしかず」。
穏やかにゆったりと流れる空気感が心地よく、いつまでも見ていたくなる風景でした。



話しは少しそれますが、個人的に白川郷で思い出すのが、ずっとずっと前に知人が案内してくれた時のこと。
「ここね、自分だけのとっておきの場所なんだ」と教えてくれて、一緒に静かな里山の風景を眺めました。
その後、しばらくして白川郷は世界遺産に登録されることに。
「大切な場所」が有名な観光地になって、あの人はどう思っただろう……。
疎遠になってしまった今でも、時々ふと懐かしく思い出します。



さて、二日目はいよいよハイライトの立山黒部アルペンルート!
そもそも「立山黒部アルペンルート」とは、標高3,000m級の山々が連なる北アルプスを貫く「山岳観光ルート」のことで、総距離は37.2㎞、最大高低差は1,975m。
富山県側の立山町「立山駅」と長野県側の大町市「扇沢駅」をいろいろな乗り物を6つも乗り継ぎながら、いくつもの景勝地を巡っていきます。
立山駅から立山ケーブルカーに乗り、立山高原バス、立山トンネル電気バス、立山ロープウェイ、黒部ケーブルカーを乗り継ぎ、途中の黒部ダムの辺りは徒歩で進み、最後は関電トンネル電気バスで扇沢へ!



まずバスで到着した「室堂」では、期待大の雪の大谷ウォーク。
今回こそ、真っ青な空を背景にそびえ立つ雪の壁を見たい……!

と思っていましたが、この日もどんより曇り空。
前回と同様、感動的!とまではいきませんでしたが(笑)それでも白い壁を見上げるとワクワク、テンションが上がりました。





さらに室堂付近の散策では「雷鳥いないかなぁ」と目を凝らして探すものの、辺りは一面真っ白。
あきらめて帰ろうとしたところ、「雷鳥いた!」という他のお客さんの声が聞こえてきてたので、また探してみると……。
遠くに黒い点のような何かが動いているのを発見!!
「ん-、雷鳥……なのかな??」
結局私には判別がつかず、雷鳥だったかもしれないし、違ったかもしれないし。
見れたことにしたいと思いつつ、雷鳥に関してはまた次回の課題となりました(惜)

立山黒部アルペンルートは何度も乗り物を乗り継いでいくわけですが、とにかくそれぞれのスポットの景色が素晴らしくて!
立山の東側、断崖にある「大観峰」では標高2,316mの高さから黒部湖や後立山連峰を見下ろすことができて、大自然のパノラマは息をのむほどの絶景。




さらに雄大な黒部ダムも圧巻の光景が広がります。
この深く険しい山の中に巨大なダムを建設する、という壮絶な計画を成し遂げた大勢の方々の努力と苦労を思うと……。
人の力ってすごいなと、ただただ感心するばかりです。
黒部ダムが完成したのは今から62年前(1963年)。
建設には延べ1千万人が携わり、7年の歳月と当時の金額で513億円もの費用が費やされたとのこと。
そして調査や工事では、171名の尊い命が失われたと記録されています。







ダムの放水は6月下旬から10月中旬までなので今回は見られませんでしたが、いつか「毎秒10トンもの水が豪快に放水される」光景を見てみたいなと思います。
また、今回の旅行ではおいしいものをたくさんいただきましたが、黒部の湧水もその一つ。
黒部ダム建設当時、掘削で難所を極めた関電トンネルの破砕帯(岩盤の中で岩が細かく割れ、地下水を溜め込んだ軟弱な地層)から湧出する水が引かれていて、黒部ダムレストハウスの入り口、黒部ダム駅からダム展望台へ向かう地中階段、ダム展望台の3カ所で水を汲むことができます。
この湧水が本当においしくて、「え、水ってこんなにおいしいの?」と大げさでなく感動!
ペットボトルで持ち帰った黒部の湧水は、私的には一番のおみやげになりました。
ちなみに今回は食べなかったのですが、黒部ダムのレストランや食堂では名物の「ダムカレー」がおススメです♪
歴史ある黒部ダムと雄大な自然。
いろいろな乗り物に乗れるのも楽しい。
ダム建設時のことを想像すると、どうしても「楽しい」ばかりではないのですが、立山黒部アルペンルートは四季折々、何度でも行きたくなる場所だな、と思いました。
次はいつになるか、ダムの放水とかわいい雷鳥を見てみたい!
目的を果たせず楽しみを持ち越すのも、旅行の醍醐味かもしれませんね(笑)